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子どもの虫歯は?
子どもの虫歯は、痛みなく進みます。また、治療だけでは再発をくり返し、虫歯のモグラたたきに終わります。現実に、大人の治療の多くは、子ども時代に治療した歯の再治療です。最良の治療は健康な歯を育てる予防で、子どもはそのチャンスを生かせます。
右上の写真には虫歯は見えません。でも、レントゲン写真で、上下4本の奥歯の間に虫歯(黒い点)が見えます。
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虫歯の治療法は?
当院では、歯を黒くする治療(おはぐろ)はしません。多くは白いプラスチックを使い、奥歯の大きな虫歯に限って金属の冠を被せます。子どもだって、きれいな歯が大好きです。
深い虫歯を除き、麻酔注射を減らします。子どもの痛覚は発達途中で鈍感ですし、しびれ感で唇を咬む事故も多いからです。注射しても手鏡で見て治療参加する子は少なくありません。
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治療前と治療後 |
虫歯の予防は?
歯の健康の基本は、幼い頃からの予防です。生えて間もない歯は弱く、その後の対応で強くも弱くもなります。なかでも、歯が顔を見せて3年間が大切で、生活や飲食リズムが響きます。医院もPMTC(器械でみがく)、シ−ラント、フッ素塗布などで、強い歯に育てる応援をします
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シーラント前後(歯の溝の虫歯を予防) 医院で使うフッ素 家庭で使うフッ素 |
酸蝕症
コ−ラなどの酸が歯を溶かす病気です。虫歯と違い、砂糖や歯垢がなくても起こり、歯みがきも無効です。 また、歯の全面が溶けて、知覚過敏やクサビ状欠損も起こします。
歯はPH5.5以下の酸性になると溶け始めます。一方、唾液が食品の酸を薄めてくれますが、時間が掛り過ぎます。予防の基本は、頻繁に飲食しない、口にためない、うがいする、フッ素利用です。
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食品の酸性度
コ−ラ:PH2.2
黒酢:PH3.1
オレンジジュ−ス:PH3.2
スポ−ツドリンク:PH3.5
果物のレモン:PH2.1
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歯肉炎
歯肉炎は歯ぐきが腫れたり出血する状態で、幼児にも起きます。ただし、生活や飲食のリズムを整え、確実な歯みがきを続ければ数日で改善します。
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歯周炎
歯周炎は思春期から始まり、歯を支える骨が溶けていく病気です。自覚症状がなく、かみ合わせの異常や食べ癖、糖尿病や循環器疾患があると進行が加速されます。また、妊婦さんでは早産への影響が認められています。
歯周炎は回復が難しい生活習慣病で、若い時からの予防が大切です。生活と飲食のリズムを整え、歯垢を確実に落とす歯みがきを欠かせません。医院はPMTC(器具で歯をみがく)、歯石除去などで応援します。
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歯の根を包む歯根膜や骨の病気です。
下の前歯の歯石
周囲は歯周病
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小帯
上唇や舌のスジで、歯が生える前は歯ぐきの頂点に着いています。そして、歯が生えると歯ぐきから離れていきます。このスジが短いと唇や舌の動きが制限されるため、整形手術が必要なときもあります。詳しくは担当医に相談ください。
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上唇小帯
上唇のスジで、短いと唇の動きが制限されます。そのため、おっぱいの吸いが弱かったり、上顎の成長が妨げられて歯ならびが乱れます。また、歯ブラシでこすると痛いので、ご注意ください。
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舌小帯
舌の裏側にあるスジです。これが短いと舌を上や前に伸ばせないため、丸のみや発音不良、口呼吸になることがあります。そのため、舌の可動範囲を広げる訓練が必要になります。
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咬合誘導
歯ならびも予防できる部分があります。体の姿勢や癖、呼吸や食べ方などの生活習慣で変わるからです。
咬合誘導は小児歯科の総合力で、おいしく食べる口の機能を育てる応援です。これには、歯と歯ぐきの治療と予防、乳歯から永久歯への生え変わりを導く援助、食べ方を育てる支援、矯正装置など歯科の力を総動員します。
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乳児 8ヶ月前後 幼児 7才前後 9才前後 12才以上 |
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正常な口もと・歯ならび(口角を引いた唇・丸くて可愛い乳歯の歯ならび、隙間がある) |
歯列矯正
定期診査を受診のお子さんに限って、本格矯正も担当します。ただし、骨格の問題が大きいなど、治療が難しい方は矯正専門医に紹介します。
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かまない子、かめない子
1980年台から続く問題ですが、『軟食化が原因』と『硬いものをかめ』の指導ばかりが続きました。でも、食べる機能(唇や舌の使い方)は、生後の体験学習だけで身につけます。ここでは、食べる意欲の問題か、食べる技術の問題かを見分けて、お子さんに適した対応が必要です。
2018年から口腔機能発達不全症の病名で、0〜14才の健常児(定型発達)に歯科の指導が始まり、2020年から哺乳期の乳児が加わり、2020年から18才未満まで対象が広がりました。
大人の方でもこの問題を残し、気づかれずに過ごしている方も多いと思います。ご自身の機能にも目を向けてください。
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お腹を減らして
飽食の時代で、食べものはあふれています。一方、子どもたちは屋外で体を使って遊ぶ機会が減っています。おいしく食べる意欲も、食べる技術も、お腹が減って食べたくなる環境の中で育ちます。
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離乳食の役割
唇や舌を使って食べる技術は生来の能力ではなく、生後の学習で獲得します。離乳食はその機能を育てる時期で、次の順に学習を積み重ねて、本来なら幼児期に完成します。(『授乳・離乳の支援ガイド』、厚労省は2019年に改定しました)。
- 1.捕食(唇で食べ物を取り込む)
- 2.えん下(口を閉じ、舌を使って飲み込む)
- 3.そしゃく(舌と頬、奥歯を使って食べ物をつぶす)
この学習を忘れると、大人になっても上手には食べられません。口を開けて食べたり、丸のみなら、離乳食のおさらいが必要です。教材は軟らかく料理した離乳食で、やみくもに硬いものに走れば、丸のみを強化するだけです。
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口腔機能発達不全症
離乳期からの摂食機能の発達が遅れた状態で、呼吸や発音の問題も伴います。その発達を導く訓練は遅くなるほど難しくなるため、できるだけ早いハビリテ−ションが望まれます。また、大人の方でもこの問題を引きずっているのに、気づかずに過ごしている人も多いと思います。
口腔機能低下症は老化に伴う機能の低下で、誤嚥などの問題を防ぐリハビリが必要になります。
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小児歯科の定期診査
早期発見と治療が目的の歯科検診と違い、より元気な子に育てる育児支援です。ご一緒にお子さんの成長を見まもり、歯や歯ぐき、歯ならびや食べ方の予防を進めます。そのために、正しい情報をお伝えします。
初診は1才児が最多で、高校生や社会人になっても定期診査が続きます。 多くは虫歯しらずで、乳歯の虫歯で苦労した子も、永久歯は虫歯がない健康な口に変身しています。
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初診は1才児が最多
定期診査は高校生や成人後も続く |
他の先進国では?
多くは定期診査で予防を進めています。北欧(スエ−デンやフィンランドなど)は、ほぼ100%の国民が公的な定期診査を受けています。アメリカは4000万人(国民6人に1人)が無保険ですが、それでも50%が定期診査を受診します。これに対して日本は10%に満たない受診率です。
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虫歯のない人へ変身
今はひどい状態でも、道は残っています。生えてくる永久歯を、3年かけて強い歯に育てましょう。写真は5才児で、奥歯3本を抜いて小児義歯を入れました。その後、定期診査を重ねて、9年後(15才)には健康な口に変身しています。
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治療前 治療後 5年後 9年後 |
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